使徒信条について

著者: 
マルティン・ルター (神学者、宗教改革の創始者)
翻訳: 
高木賢(フィンランドルーテル福音協会、神学修士)

家の主人がその家に属する者たちに対して単純に教えなければならない場合の説明の仕方は、以下の通りです。

第一条 創造について

「天地の造り主、全能の父である神を私は信じます。」

これは、どういうことですか?

答え。
すべての被造物と共に私のことも神様が造ってくださったことを、私は信じます。神様は私に、身体と魂、目と耳、両手両足、理性とすべての感覚を与えて、今もなお保っておられることを、私は信じます。さらに、神様は、着物と履き物、食べ物と飲み物、家屋や中庭、妻と子ども、耕地と家畜、すべての所有物、身体を養い生活するために必要なものすべてを毎日豊かに与えてくださり、あらゆる危険から私を保護し、すべての悪から防御し守ってくださることを、私は信じます。そして、それらすべてのことは、私の功労や価値によるものではなく、純粋に、父としてのまた神様としての善意と憐れみによるものなのです。これらのすべてのことのゆえに、神様に感謝し、讃美を捧げ、お仕えし、従う義務が私にはあります。これは確かに本当のことです。

第二条 救いについて

「そのひとり子、私たちの主イエス・キリストを、私は信じます。
主は聖霊によって宿り、おとめマリアから生まれ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死んで葬られ、よみに下り、三日目に死人の中から復活し、天に昇られました。そして全能の父である神の右に座し、そこから来て、生きている人と死んだ人とを裁かれます。」

これは、どういうことですか?

答え。
永遠の(世界の)中で御父から生まれた真の神様であり、おとめマリアから生まれた真の人間であるイエス・キリストが私の主であることを、私は信じます。主は、(罪に)敗北し永遠の滅びの宣告を受けた人間である私を、金銀によってではなく、御自身の聖なる尊い血、罪なくして受けた苦しみ、および死によって、あらゆる罪と死と悪魔の力とから救い出し、獲得し、勝ち取ってくださったことを、私は信じます。それは、主が死からよみがえり、永遠(の世界)において支配しておられるのと同様にして、私が主に帰属する者となり、私も御国において主の御許で活きて、永遠の義の中で罪のない祝福された者として主に仕えるようになるためです。これは確かに本当のことです。

第三条 聖化について

「聖霊を、私は信じます。
また、聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、からだの復活、永遠のいのちを信じます。アーメン。」

これは、どういうことですか?

答え。
自分自身の理性や能力によっては、私の主イエス・キリストを信じることも、その御許に行くこともできないことを、私は信じます。それに対して、聖霊様が地上のすべてのキリスト信仰者を召し集め、照らし、聖とし、イエス・キリストの御許において唯一の正しい信仰のうちに保ってくださるのと同じようにして、聖霊様は、福音を通して私を召し上げ、その賜物をもって私を照らし、正しい信仰のうちに私を聖とし、保ってくださることを、私は信じます。キリスト信仰者たちの中において、聖霊様は、私とすべてのキリスト信仰者に対して、日々すべての罪を豊かに赦し、そして、終わりの日に、私と死者全員をよみがえらせ、キリストを信じるすべての人々と並んで、私にも永遠の命を与えてくださいます。これは確かに本当のことです。


使徒信条についての祈り (ルターの祈りの本)(ルターの聖書日課集のサイトへ)